令和6年 選択Ⅱ-2-2

Ⅱ-2-2 あなたは設計部門の開発リーダーとして、既存製品の軽量化に取り組むこと
になった。軽量化を実現する手法として、トポロジー最適化を用いる前に、既存製品の
材料や製造方法の見直しを行った。軽量化した製品の試験を行ったところ、振動が発生
したため、原因を調査してその対策を指揮することになった。下記の問いに答えよ。


(1)軽量化する既存製品(若しくは部品) を具体的に1つ挙げ、軽量化の目的と、採用
した方法について説明せよ。また、振動の原因について調査、検討すべき事項を説明
し、振動が発生した要因を列挙せよ。
(2)そのうち最も重要と考えられる要因についてその対策を行う手順を列挙して、留意
点すべき・工夫を要する点について説明せよ。
(3)対策業務を効率的、効果的に実施する際の関係者との調整方法について述べよ。

解答例

  1. 軽量化対象製品および軽量化方法と振動要因

(1) 軽量化対象製品

ベルトコンベア上の小部品をキットパレットへ移載するガントリー型移載機を軽量化対象とする。本装置は小部品を把持後、約500mm水平方向にスライドして搭載する機構を有し、30秒のサイクルタイムで10個の部品を移載する。連続的な加減速動作を伴うため、構造剛性および振動特性が性能に影響を与える。

(2) 軽量化の目的および方法

 海外への空輸を予定しており、輸送費削減を目的として装置の軽量化を行った。軽量化手法として、フレーム部材の板厚低減および肉抜きを行った。

(3) 振動要因に関する調査項目

①剛性の調査
一般に、構造剛性の低下は変形量および振動振幅の増大を招く。フレーム部材の板厚低減および肉抜きを施したため、剛性が低下していると考えられる。この剛性低下が振動増大に与える影響について調査する。

②共振の有無
 剛性低下により固有振動数が低くなっていると考えられる。サーボモーターの回転周波数など他の外力と共振していないか振動解析を行い調査する。

(4) 振動発生の要因

①移載動作において、部品を把持するハンドが移動と停止を繰り返す。この停止時に生じる慣性力がフレームに作用し、振動を励起している。

②フレームの板厚低減および肉抜き加工により構造剛性が低下した結果、外力に対する変形量が増加し、振動が問題となる程までに増大した。

2.最も重要と考えられる振動要因および対策

 前節で示した振動要因のうち、②の剛性低下に起因する振動増大が最も重要な要因であると判断した。以下に本要因に対する対策手順を示す。

①動作条件の見直し
 サーボモーターの減速時間をサイクルタイムが許す範囲で延長し、停止時の慣性力を低減する。これにより振動低減を図る。

②CAEを用いた構造最適化
 C A Eにより構造特性を評価し、許容変形量を基に補強方法および剛性向上策を検討する。形状最適化ソフトを活用し効率よく進める工夫をする。

③補強方法の検討
 溶接またはボルト締結による補強方法を検討する。溶接による熱影響に留意し、加工・組立担当者と協議の上、最適な方法を決定する。

3.関係者との調整および実装上の配慮

補強材追加により保守作業空間が制限される可能性があるため、保全部門と協議し、装置停止時や部品交換時の作業性を考慮して補強材の配置および形状を決定する。